2011年8月30日火曜日

8月の研修医カンファレンス

  8月は、日本全国から27人の医学生が埼玉協同病院に見学・実習にいらっしゃいました。
 うち13人が5年生でした。まさに大学で臨床実習中の5年生ですが、大学病院とは全く異なる、急性期型の地域基幹病院の日々を目の当たりにして、驚き、たじろぎつつも、積極的に診療に参加し、より多くのことを学ぼうとする姿勢が印象的でした。
 木曜日午後の研修医カンファレンスに参加したのは5年生6人、4年生1人でしたが、感想はどうでしたか?

◆7月28日(木)Gram染色について(実習前レクチャー)

◆8月4日(木)15:30~Gram染色実習-No.1-

◆8月11日(木)14:00~Reversed-CPC 5年生5人が討論に積極的に参加してくれました。 
 10ヶ月前から寝たきりだった70歳の女性。
 3週間前から元気がなかったが、本日緊急搬送されてきた……

 という症例のデータを解析しました。
 例えば、酸素5Lで
     pH    7.511
     PaCO2 40.1
     PaO2  62.4
     BE     9.3
     HCO3-  32.0

 って、どんな病態を考えますか?

◆15:30~Gram染色実習-No.2-
 やはり脱色は加減が難しいですね。学生さん2人も加わって、りっぱな染色標本が出来ました。  あとは実践あるのみ!
 感染症診療で非常に重要な意義を持つGram染色ですが、全国の研修病院で、きちんと実習をしているところがどのくらいあるのでしょうね。

◆8月18日(木)14:00~Case conference 5年生が1人参加しました。 
 健診で貧血を指摘された63歳の女性 
 データを解析し、検査計画を立て、結果を判定する作業を通じて、
 セ・ア膜電気泳動法による蛋白分画パターンの判定
 IEPの原理、読み方

 などを習得しました。

 IEP(免疫電気泳動検査)は、M蛋白を同定するために重要な検査ですが、 自分で結果を読める医師が殆どいません。今日、カンアファレンスに参加した4人は今後、ほぼ自分で解析することが出来そうです。


◆8月25日(木)14:00~Case conference 4年生が1人参加しました。
 現在入院中の患者さんについて、検討する。

  
呼吸器の医師を呼んでレクチャー中。
  ・肺炎がきっかけで、自己免疫性肝炎、SLEと診断された患者さん
  ・重症肺炎→ARDSの患者さん、今後の治療方針は?
  ・発熱を繰り返す妊婦さん、さて、何を考える?
  ・本当にbacterial meningitisですか?

 いずれも非常に難しく、かつ興味深い症例でした。4年生にはちょっと難しいかなと思いましたが、S君は、メモを取りまくり、一生懸命考えてくれました。将来が楽しみですね。
◆Sくんの感想◆
症例を通じて感じたことは、病気というのは、必ずしも1つに定まらないということ、また、必ずしも答えが見つかるとは限らない、ということだった。イメージでは、どんな患者もある特定の疾患を抱えていて、医者は検査結果をヒントとして答えを探すというのが診断だと思っていた。しかし、人間は生き物である以上、その様なデジタルな診断などありえないことが分かった。また、どの先生もとても視野が広く、目の前の検査結果をにらんでいるだけでなく、それを手がかりに様々に知識を広げ、身体全体を見ようとしているところが印象的だった。

 7月、8月は、初期研修医採用試験、講演などが重なり、指導医村上の都合で、研修医カンファレンスはちょっと変則スケジュールでした。9月は、落ち着いて臨みたいと思ます。
指導医・教育研修センター長 村上